ハロウィンと宗教の関連って?
古代ケルト人のサムハイン祭
古代ケルト人のサムハイン祭をご存知でしょうか?紀元前~紀元後もヨーロッパ大陸に広く伝わっていたケルト人のお祭りです。
お祭りと言っても、その形式は非常に儀式的でした。古代ケルト人にとって冬は一年の始まりだったので、来年の豊作を祈願して、時には人間も生贄にされるお祭りであったとされています。
キリスト教が広く伝わる前、そしてその後もこのサムハイン祭の風習は色濃く残り、異教徒からすれば「不気味で暗い儀式」のような印象を与えました。
今でもハロウィンは「ちょっと暗くて、ちょっと不気味」なイベントです。この不気味さは、紀元前のサムハイン祭まで起源をさかのぼると言えそうです。
キリスト教の万霊節との関連
キリスト教がヨーロッパ大陸に普及するにあたって、教皇を中心にサムハイン祭を排除する動きが広がりました。
教会は、サムハイン祭を弾圧するのではなく、キリスト教の万霊節(オールハロウズと言います。「ハロウズ」はハロウィンの語源)に置き換えることで排除しようとします。
万霊節は日本でいうお盆のようなもので、死者が復活し、それをお祝いする節であると言われています。
万霊節は11月1日に行われるのが一般的です。そのオールハロウズのイブにあたる10月31日が、「ハロウズ・イブ」であり、それが訛って「ハロウィン」になりました(尚、発音としては「ハロウィーン」が正しい)。
サムハイン祭と万霊節の融合、分離
こうしてキリスト教の普及とともに万霊節も広がっていきましたが、サムハイン祭も根強くその文化を残していきました。
ある地域ではサムハイン祭と万霊節が融合してハロウィンに、また別の地域では万霊節のみが残って独特の文化になりサムハイン祭の名残としてハロウィンに、といった地域ごとに違う「ハロウィンの形」ができあがりました。
時がたつにつれてサムハイン祭の儀式的な側面や、収穫祭としての側面も薄まっていき、やがてアメリカの商業主義に乗ってハロウィンは仮装やパーティーをするものになっていきました。
ハロウィンはキリスト教と関連が深いと言われていますが、前述のように古代ケルト人とも関わりが深いと言えます。
今日ではハロウィンについての宗教的側面に触れられることはほとんどありませんが、ハロウィンのこうした歴史的事実を知っておきながらハロウィンを楽しむのも面白いかもしれません。